見つけておねがい見つけないで

幸福は証明できない

幼い私が憧れるもの

 私生活は順調だが、たまに眠れなくて、そういうときはだいたい頭の中に根拠のない不安が渦巻いている。お腹が空いてるのかもしれないと思って、お茶漬けやパンを食べる。寒いと余計に不安になるから、背中の高い位置にカイロを貼る。

 世間では自粛という言葉が流行ってるようだが、私は自粛してると思ったことは一度もない。いつも人と、なぜか足並みが揃わないことが不思議だ。行動ではない。内心の、心の、言葉の。人や経済が死にかけているのに、私は喜びに満ち溢れている。「乗り越えよう」「我慢しよう」が合言葉な社会。みんなは合言葉があっていいな、と思う。その直後、いいかげん自己を確立してください、と思う、自分に対して。自己とか自分とかいう言葉は苦手だ。際立たないで、もっとこう、自然に、その辺の空気に溶け込んでいてほしい、意識する間もないよう。そうして個性をつぶし内心をネグレクトした結果が今で、昨日と今日は連続していて、他人の雑音のせいではないのに。

 職場のおじさんからの、今度LINE交換しましょうというメッセージを、ずっと無視している。私はいつも他人という全体に憧れがある。